包装と摩擦の関係について考える

摩擦というのは、包装の開発と切っても切れないものです。たとえば濡れた指で小袋を開封しようとしても手が滑ってうまく開くことができないのはよくあること。反対に、スーパーのレジ袋は指を少しだけ濡らさないと袋が開いてくれないということも誰もが経験しているのではないでしょうか。このように摩擦というのはとても身近。面白くて奥深いものと言う人もいます。アルコール綿の小袋を開封しようとして、指先を乾かしてから再度トライしてやっと開封したという技術者が、摩擦の話(曽田範宗:著)を思い出したとか。アルコール綿の小袋はカット面がギザギザになっています。その谷の部分を前後に引っ張って開封するというのが、通常の開封方法。指でつまんで引き裂くわけです。濡れた指でこれをつまんだ場合は、滑って抜けてしまいます。ここでスリップ性が出てくるということです。アルコール綿の袋というのは、PET/AI/PEです。この材質と摩擦とは直接関係はないのですが、要するにこの「摩擦の話」の筆者は、乾いた指でつまんだときと、濡れた指でつかんだときの摩擦力はどのくらい差があるのだろうと考えたわけです。そこで、小袋の短い方の辺のシール部をひもに巻きつけてセロテープで固定して、紐を輪っかにして結んでそこにバネばかりのフックを引っ掛けて、小袋の両面から親指と人差し指で力いっぱいはさみながら、バネばかりを引っ張って、どのくらいの力で小袋が指から抜けたかを測定したのです。大雑把に指が乾いているときで3.5キログラム。指が濡れているときで1.8キログラム程度。袋をつまむ力がほぼ同じとして、指が濡れている場合は、摩擦力は2分の1。摩擦係数2分の1とわかりました。