パリパリ食感を保つのも包装のなせる業

日本人にもすっかりお馴染みなったフライドチキンやピザパイといった焼き立て・揚げたてのパリパリ感が売りの食材。ここにも包装技術が大きく貢献しています。食品包装にとって大気中の酸素や水蒸気などを如何に遮断するかが課題とよく言われますが、一方でその食品ならではの良さを保つようにするためにも包装技術が活躍しているということです。水分吸収と言えば、お馴染みのシリカゲルやカルシウムを封入した乾燥剤をすぐに思い浮かべますが、冒頭の焼き立て・揚げたてを売りにする食品では、多量に発生する水分を“素早く”吸収しないとあの出来立て感を維持できません。そこでこのような目的のために生み出されたのが水分調整シートであり吸湿性段ボールなのです。具体的にはピザ専用に作られたクリスピーカートン、テイクアウトでよく見かけるテイクアウトカートンなどで使用されている「吸水ポリマー」がその働きを担っています。この吸水ポリマーを水分透過性の良い無サイズ紙(サイジングされていない紙)と逆に水分を通しにくい外箱側のポリエチレンの間に挟み込むという構造的工夫で実現しています。サイジングとは、通常の紙に施しているインク等のにじみを抑えるための操作をさしますが、無サイズ紙はこの紙繊維が本来持っているすきまをコロイド物質で埋めることで実現させています。このような無サイズ紙で焼き立てや揚げたて直後に発生する水分を素早く吸収させることで、あのパリパリ感を維持しているという仕組みになっています。普段何気なしに目にしている包装にも、いろいろ工夫が施されていていることを知ったうえで、改めて見なおしてみるのもおもしろいかもしれません。